終わらない物語を、君に。

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崩れ落ちそうなレスティンを慌てて支えると、じりじりと足音が迫ってきた。 「魔女を渡してもらおう」 こんな状況になってなお、レスティンにこだわる人間に恐怖を感じる。 「レスティンは渡さない」 スクーナはレスティンを抱き抱えると、その場を逃走した。 いくつかの森を抜けた山の中、開けた岩の上に出ると満月がくっきりと見えた。 「本当にあなたは吸血鬼だったのね」 ギクリ、背中が揺れる。 そっと岩の上にレスティンを下ろすと、上半身を抱いて支える。 「……怖いか?」 おそるおそる聞いた声は震えていた。 そんなスクーナにレスティンが僅かに首を振る。
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