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「ううん、怖くなんかないわ。
あなたはずっと、私に優しかったもの」
レスティンの手がスクーナの頬にふれる。
そっと手を重ねると胸が詰まって、なにかがせり上がってくる。
「でも残念ね。
私は魔女じゃなかったみたい。
ずっと、あなたの話を聞いていたかったのに」
「レスティン……」
頬の上を暖かい滴が転げ落ちていった。
少しずつ、レスティンの瞳から光が消えていく。
「許してね。
あなたひとりを残して逝くことを……」
そっと瞼が閉じられると、一筋の涙がすぅーっとレスティンの頬を伝い落ちていった。
「レスティン?
レスティン、レスティン!」
もう一度目を開けて、笑って欲しい。
けれどスクーナの願いはむなしく、どんなに身体を揺すってもレスティンは目を開けない。
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