終わらない物語を、君に。

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「レスティーン!」 一晩中、山の中にスクーナの慟哭が響きわたっていた。 「その吸血鬼はそれからどうしたの?」 「さあてね。 ……ほら、もう寝た、寝た」 祖母に布団をぽんぽんとされ、目を閉じる。 ……その晩、私は夢を見た。 満月が照らす部屋の中、祖母の話に出てきた吸血鬼とそっくりな男が、一心不乱にペンを走らせている。 ふと、私に気づいたのか、男がペンを止め、振り返った。 「レスティン」 ああ、私は……。      【終】
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