黄金色の欠片

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次の日は妙に寒かった。 顧問の先生の都合でいつもより少し早めに部活が終わって下駄箱の近くで同じ部の仲間と何となく立ち話していた。 テニス部はまだ近くのコートで練習中で、掛川がおかっぱの赤い髪を跳ねさせながら打ち合いをしている姿がはっきり認められた。 「あれ、クウォーターじゃなくて本物の外人に見えるよな」 友達が笑って耳打ちする。 「そうだね」 あの子だって可愛いし、人好きのする明るい子だ。 むしろこちらを好きになる方が自然かつ妥当に思える。 ふと目が合うと、掛川は人懐こい風に笑って返した。 あの子は誰にでもああなのだ、別に自分に特別な感情はないと冷静な頭では知りつつそう悪い気はしない。 自分も苦笑して頷いて付け加えた。 「あの子はアメリカンって感じだ」 日本人のようなこせこせした陰湿さや偏狭さがない。
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