黄金色の欠片

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「住谷がロシアとのハーフだっけ?」 振り向くと、友達は曖昧な記憶を探る顔つきをしていた。 「ルーマニアだよ」 即答してから、そういう自分に戸惑った。 「俺はあいつ、苦手だな」 自分でも声が上ずるのを感じる。 「普通、ハーフの子ってもっと明るくておしゃれだろ。あれ、普通の日本人よりだせえし暗いじゃん。お母さんいないらしいけど、何かヤバイことやってる家じゃないか?」 想像の中であの固く編みこまれた焦げ茶の三つ編みをまた解く。 振り向いた彼女はあの外国の女優のように潤んだ瞳をしているのだった。 実際には自分にそんな表情を見せたことはないのに。 「だから嫌いだ」 あはは、となぜか笑えた。
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