黄金色の欠片

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「お待たせ」 声と共に肩を叩かれて初めて相手が来ていたことに気付く。 「ああ」 今日から着始めた冬用の白い厚地のコートを着た妻の真央が何となく他人に見えた。 「どうだった?」 半ば答えを知りつつ尋ねる。 「やっぱり妊娠してた」 自分にとっても喜ぶべきはずなのに、さっきまでは心待ちにしていた報せのはずなのに、何故か相手の笑顔が遠く思える。 「今日で分娩予約までしてきたから遅くなったの」
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