黄金色の欠片

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「ママ、こっち!」 不意に甲高い声が耳に飛び込んできた。 行く手に真っ直ぐな黒髪の前髪を垂らし、後ろは三つ編みのお下げに結った、四歳くらいの女の子が手に持ったテディベアを振っている。 黒髪黒目だが、目の大きな、彫り深い顔立ちだ。 ハーフかクウォーターかな? 手にしたテディベアもハーメルンの笛吹きみたいな衣装を着せられて舶来品じみている。 「ユリアはどうかな?」 生まれてくる子はさておき、あの女の子には相応しい。 「ユリア?」 真央が苦笑いして聞き返す。 「何だか『北斗の拳』みたいじゃない?」 「あっちには多い名前みたいだよ」 ロシアのスケート選手とかウクライナの首相だかにもそんな名の人がいた。
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