3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ママ、こっち!」
不意に甲高い声が耳に飛び込んできた。
行く手に真っ直ぐな黒髪の前髪を垂らし、後ろは三つ編みのお下げに結った、四歳くらいの女の子が手に持ったテディベアを振っている。
黒髪黒目だが、目の大きな、彫り深い顔立ちだ。
ハーフかクウォーターかな?
手にしたテディベアもハーメルンの笛吹きみたいな衣装を着せられて舶来品じみている。
「ユリアはどうかな?」
生まれてくる子はさておき、あの女の子には相応しい。
「ユリア?」
真央が苦笑いして聞き返す。
「何だか『北斗の拳』みたいじゃない?」
「あっちには多い名前みたいだよ」
ロシアのスケート選手とかウクライナの首相だかにもそんな名の人がいた。
最初のコメントを投稿しよう!