第2章

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「おー、でかい図書館だね」 「そう。お願いだから、話しかけないでね。変な人に見られちゃうんだから」 「___わかってるよ」  グレーの外壁に上の方はガラス張りで、近代的なお洒落な図書館だった。ここが市立中央図書館。きっといろんな新聞が置いてあるはず。  館内はたくさんの人が行き交っていたが、広いので圧迫感は無い。三フロアに分かれおり、貸し会議室やカフェもあるようで、スタディルームやパソコンのある所は特に人気のようだ。この中を地道に探すつもりなど、渚にはさらさら無かった。 「こんにちは。新聞のコーナーはどちらでしょうか?」 「こんにちは。新聞は二階のエレベーターを上がった直ぐの休憩コーナーに置いてあります」 「そうですか。ご丁寧にありがとうございます」  愛想のいいお姉さんに、愛想のいい笑顔でお礼を言った。優はもの珍しそうに辺りを見ながらも、しっかりと後ろをついてきている。エスカレーターに向かうと、横の壁がガラスになっていて外を歩く人たちを登りながら眺めた。  お目当ての場所には経済新聞からスポーツ紙・英字紙、あとは全国紙に地方紙と十種類程の新聞が掛けられて並んでいた。・・・そっか、そうだよね。地方紙を手に取ってから気付いた。今日の新聞を見ても何の意味も無い。見るべきなのは、過去の新聞。 「すみません」 「はい、どうされましたか?」 「えっと、この地方紙の過去のものを見たいんです。今年の二月頃のものは保管されていますか?」 「ええ、具体的に何日という指定がありますか?」  二階フロアのカウンターにいた年配の女性に声をかけると、きびきびと案内をしてくれた。この人は仕事も出来そうだと思う。 「少し幅が広いのですが、二月十日から二十日までの分をよろしいですか?」 「ええ、構いませんよ。お持ちするのでそちらの机に掛けてお待ちください」 「はい、お手数をおかけします」  女性は話しながら素早くパソコンをいじり、恐らく在庫の確認が出来たのか早足で裏の方に消えて行った。指定された長机にはお爺ちゃんが一人座っているが、本を前に舟をこいでいる。何時もの流れで壁際の椅子を引いて優を座らせた後、隣に座った。  ドキドキと鼓動が速まっていた。それはこの後知る真実への高鳴りなのか、肩が触れている優へのものかは渚にもわからなかった。
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