第一章 憧れの勇者

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 アガイ王国は、海に面した小さな国だ。  領土の中央に美しい湖があり、王の住む城がその畔にあった。  城下町マゼラは、城を中心に半円を描くように広がっている。  城のすぐ近くに勇者キノガンの家があった。小さな道場を備え、キノガンの息子ダムガンは幼い頃から父に武道や柔道を教わってきた。  ダムガンのあこがれは父キノガンで、いつかは父のような勇者になりたいと思い、毎日、一生懸命修行に励んだ  十歳になるとダムガンは、父が冒険の旅に出かけて不在になると、武道家の道場に出かけていくようになり、そこで武術の稽古に励んだ。  数年がたち、ダムガンは道場の中でも一、二を争うほどの腕前になっていた。  そのころ、ダムガンはある人物の名を聞いた。その名を初めて聞かせてくれたのは父キノガンだった。  しばらくすると、父以外からもその名を聞くようになり、やがてダムガンのあこがれは父からその人物に変わった。  僕もあの人のように強くて立派な勇者になりたい。  ダムガンはそんな思いを強く胸に抱き、毎日懸命に剣を振った。  あこがれの人物の名。それは勇者ダバイン。
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