お話

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知らなきゃ良かった 聞かなきゃ良かった   こんなことなら、退屈な毎日を送れば良かった   恐怖でがたがたと震える体を無理矢理机の下に押し込んで 見付からないように息を潜めた。   ズル、ズル、ズル 聞こえてくる音に悲鳴をあげそうになって、思わず両手で口を塞いだ。   ズル   ズル   ズル 音は、教室の前で止まって、動かない   「…っ」 はやく 早く、早くどこかに行って 見付けないで どうか私に気付かないで。     ズル、ズル、ズル   私の願いが通じたのか、音はまた動きだして、聞こえなくなった。   「…はぁ」 思わず溜め息を吐いて顔をあげた   「ひっ…!!!!」 「みぃつけた。」   にんまりと笑った顔は、真っ暗な闇に覆われていた。   「あそぼうよ、おねぇちゃん。」   その、体には不釣り合いな大きな鎌が見えたとき、私の意識は、途絶えた。    
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