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「去年と少し違うな」 私は、その部分を眺めながら呟いた。 なんだかんだ言って、結局しっかりと見ている自分。 去年は、お爺ちゃんの顔らしいシミがボンヤリと見えていたが、今はハッキリと分かる。 その隣には、自分の顔に似たシミが薄く出ているように見える。 『次は自分の番なのか』 自分は意外に冷静なんだと思いながら、半年前に亡くなったお爺ちゃんの遺影に手を合わせた。 その後、なにかの脱け殻が風に吹かれたような感じになりながら、無意識に家からフラフラと出てしまっていた。 一年後、お婆ちゃんは1人ぼっちで、いつものように、天井をスクリーン代わりに骨董品と化したプロジェクターで孫の写真を見ていた。
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