感謝の絶えない町

3/6
前へ
/25ページ
次へ
 また別の場所でも、一人の老爺が若者に道を案内されていた。 「ありがとう。助かったぞよ」 「御安いご用ですよ」  礼を言われ、気分よく鼻唄混じりに去っていく若者を見送ると、老爺は踵を返し反対方向に歩き出す。 「さて、次はどこに案内して貰おうかのう」  駅の周辺では、数人の老人達が街頭募金活動を行っていた。 「板割(いたわり)町をより住みよい町にするため、共同募金にご協力お願いしまぁす」  そこへ一人の女学生が、一人の老爺の持つ箱に硬貨を入れる。 「ありがとうございます。ってなんだ、珠姫ちゃんかい」 「ご苦労様です。老人会の皆さん」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加