悲しみに向かう出会い

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彼は動けないティナに色々な事を教えた。 人が住む町というものが有ること、そこに店や病院等の施設が有り、各々の役割を持っているという事。 演劇や小説等の娯楽が有る事。 海や、その向こうにも世界が有る事。 他にも様々な事をティナは教えてもらった。 だが、教えてもらう度にティナは申し訳ない気持ちになった。 何故なら、教えてもらってばかりで彼に何も返す事が出来ない事を気にしていたからである。 「何か有ったの?」 ある日、彼は唐突にティナに尋ねる。 尋ねられてティナは自分が泣きそうな顔をしているのに気が付いた。 「……何時もトリスは私に色々教えてくれるけど。私は何も返せない……。ごめんなさい」
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