悲しみに向かう出会い

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時折、他の魔物が側を通る事もあるが大抵の魔物は彼女に気付かずに通り過ぎていくだけである。 仮に気付いたとしても、話し掛けたりはしなかった。 マンドラゴラに意志が有るとは知らないからである。 だから彼女は誰とも関わらず数十年、過ごしてきたのである。 彼女がいつか誰かに引き抜かれるまで、今までと同じ時を過ごす筈であった。 月が完全に雲に隠れ、闇が辺りを包んでいた。 その闇の中にぼんやりと何かが光っていた。 麻のフードを被っている人物がカンテラを持って、こちらに近づいて来ているのだった。 マンドラゴラは、その人物が何をするか黙って見ていた。
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