悲しみに向かう出会い

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「見せたい物?」 ティナが尋ねると彼は懐から一冊の小さな本を取り出す。 どうやら童話の本の様である。 「見せたい物って、この本の事?」 つまらなさそうにティナが言うと彼は申し訳なさそうな顔をしてページを捲る。 「マンドラゴラって動けないから暇かなって思って持ってきたんだ。それに、ほら」 彼が指で示したページをカンテラで照らす。 そこには美しい女性の挿し絵が描かれていた。 「この絵、女神様なんだって。君に似てたから、この本を選んだんだ」 満面の笑みで彼は答える。 「……女神が私に? わ、私、こんなに綺麗じゃないよ!!」 自分の姿を見た事は無いが、マンドラゴラの自分が美しい筈がない。
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