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「世の中にはマンドラゴラという人間の形をした植物があるそうだね?」
デニス・ディックは貴族のティンバーランドから開口一番、こう言われた。
ディックは薬学の専門家。通称DD。
薬屋でもあり、ティンバーランドのためにさまざまな薬を処方している。
マンドラゴラと聞いてディックは貴族が意図していることがすぐにわかった。
だが、敢えてとぼけた。
「ティンバーランド様の口からマンドラゴラという言葉を聞けるとは、いったいどうされたのです?」
「……い、いや、最近、博物学や考古学に興味を持っていてね」
「ほう、それはすごい」
「な、何を驚いているんだね? 今は大冒険の時代だよ。世界中からめずらしい動物や植物、遺跡やダンジョンからは古代の遺物が次々と発見されている。わ、私が興味を持ってもおかしくないだろう?」
「確かにおっしゃるとおりですが」
ここまで話してティンバーランドは観念したようだった。
もともとディックとは、ゲスな趣味で繋がっている同志だ。
取り繕ったり、気取ったり、紳士を演じたりする必要はない。
「そうだよ! マンドラゴラから、すごい〝媚薬〟を作れるって聞いたから手に入れたいんだよ!」
「やっと本音を話されましたな。それでこそ私が尊敬するティンバーランド様」
ティンバーランドはともかく好色な男だった。
メイドや使用人など、今まで相手にした女性の数は1000人以上。
その行為のひとつひとつを詳細かつ克明にノートに記録している。
もし、この記録を本したら、官能小説の大全集となるだろう。
そんなティンバーランドにディックはさまざまな媚薬や回春剤を提供していた。
「この前は、闇の組織の紹介でアビィ・ロッテというピチピチの冒険者とエッチできると思ったんだがな~、寸前で逃げられた」
ティンバーランドは愚痴を語り始めた。
「それ以来、シロウトの女の子とエッチできていないんだよ~」
「それはお気の毒ですな」
「世の中には、アイドルのシンディ・スターや美乳のスカーレット・グッドブレス、9等身のミア・ウエスト、実業家のソフィア・イーストンとか、可愛い子がいっぱいいるのに遠くから見ていることしかできない。だから、彼女たちとエッチするためにマンドラゴラの媚薬がほしいんだ!」
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