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「麻宮!俺はお前が好きだ!」
何回聞いたか分からないぐらいこのセリフは聞いた。
そして、何回このセリフをあの男に言っただろうか?
「ごめんなさい。僕は男なので無理ですよ」
それでもあの男は諦めない。
なんせ、綺麗事を愛しているのだから。
「俺はそうは思わない!同じ人間同士誰を好きになっても誰も止めない!」
まただ、世間はトランスジェンダーと認知したような言い方をすれど、前と見方も距離も変わっていない。
根本は異物扱いだ。
恋愛が自由?それは綺麗事でしかない。
自由なら、誰かに見つからないようにする恋愛も自由と言えるのか?
僕はそうは思わない。
だから恋愛が自由だなんて机上の空論綺麗事でしかない。
「また綺麗事ばかり言ってやめてくださいよ。僕をからかうのは!」
そう麻宮は眞下に言い駆け足で離れた。
「ちょっと麻宮!」
眞下は止めようとしたが、届かなかった。
「綺麗事なんかじゃないのにな…」
そう呟きながら、眞下はその場を後にした。
眞下と出会ったのは今から1年前の話
当時僕はこの広告代理店「MUSE(みゅーす)」に新入社員として入り、僕の教育担当として配属されたのが眞下だった。
「麻宮遊星(あさみやゆうせい)です。よろしくお願いします!」
「初めまして麻宮君!私は今日から君の教育担当に配属された眞下だ。眞下樹(ましたいつき)だ。よろしくな!」
そう、初めの第一印象はよかった……。
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