第一章 綺麗事は罪

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最高にできる先輩で、僕の仕事も上達する一方だった。 そんなある日、眞下からいきなり言われた。 「君が好きだ!」 その時は酒も入っていたので新人の僕のことをからかっているのだと思っていた。 「やめてくださいよ!そんな冗談!っていうか飲みすぎですよ…」 そう言いながらその日は飲みすぎでそのままお開きとなった。 次の日会社に行くと、眞下が麻宮に近づいてきた。 「昨日の返事はどうなんだ?」 その言葉に麻宮は何を言っているか分からなかった。 「なんですか?まだ酔っ払ってるんですか?今日は大事な会議があるんですよ!早く起きて下さいよ!」 そう言いながら麻宮は眞下の前を通り過ぎた。 麻宮は昨日の出来事の事を思い出していた。 「君が好きだ!」 「いゃいゃ昨日は酔っ払ってたから誰かと間違ったんだよ。でも、じゃあ答えってなんだ?」 独り言を呟きながら今日1日は仕事をしていた。 その夜、残業が終わり、会社を出ると眞下が会社の下で待っていた。 「麻宮!」 眞下に止められた麻宮は足を止めた。 「先輩!なんで待ってるんですか?今日は飲みに行けないですよ明日は朝から先方に営業行かなきゃ行けないですからー」 すると眞下は真剣な顔で麻宮の方を向いて言った。 「君が好きだ!」 その言葉で麻宮はやっと気づいた。 昨日の言葉は自分に向けられて言われたものなんだと。 麻宮は壁に押し付けられ眞下から聞かれた。 「答えを聞かせてくれないか?」 そう言いながら、麻宮に眞下は軽くキスをした。 すると、麻宮は眞下の手を払うようにして怒った。 「何するんですか!僕を侮辱してからかうのもいい加減にしてください!なんで男にそんなこと聞くんですか!男と男は恋愛出来ないものなんです!男は女に恋愛をしなきゃいけないんです。だから好きになる訳ないでしょ!」 そう怒りながら麻宮は眞下に背を向けた。 背を向けた麻宮に眞下は言った。 「恋愛に縛りなんてないんだ…もちろん結婚にもだ。誰が誰を好きになろうと自由なんだ!いくら格差があろうと性別があろうとそんなものは気にしなくていいんだ……」 その眞下の言葉に麻宮はイラッとしたが振り返らず家へと帰った。
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