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「折り紙が好きで日本にやって来る人って結構いますよね」 「オレはその方面には詳しくないですが、好きならやっぱり来るでしょうね。蛍さんは先生とかに習っていたんですか」 「いえ、まったくの独流ですよ。……っていうか、折り紙の本を買って来て、誰かが考えた面白いカタチに挑戦するっていうか……」 「今度見せてください」 「それは構いませんけど、会社に入ってから折ってないな」 「じゃ、思い出し方々……」 「はい。では、そうしましょう。リクエストはありますか」 「オレは鶴と手裏剣くらいしか知りません」 「あっ、手裏剣を知ってるんだ。たぶん、二枚で折る方ですよね」 「折り方は忘れました」 「手裏剣ってね、一枚でも折れるんですよ。ただし最初に半分に切りますが……」 「なるほど。そういったことは少しも知りません」 「折り紙で有名なのは、やっぱり鶴でしょう。折鶴に連鶴。それから風船、紙飛行機、後は、さっき山口さん、いえ、翔くんが言った手裏剣、それと、兜、奴(やっこ)さん、などですかね」 「ああ、兜か。確かに、ありましたね」 「わたしたちが子供のときに占いが流行っていたでしょう。……って、翔くん、わたしと同じ歳ですよね」 「留年や留学なしの新卒です」 「じゃ、やっぱり同じ歳だ。覚えてますか」     
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