第一章 まさか、この気持ちは…… 1 告

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「あの、わたし、翔くんを見かけたものだから……。あの、わたし、翔くんのことが好きになってしまったから……」  華野かの蛍が遂に言ってしまったという表情を見せる。  山口翔は蛍を優しく受け入れる。  が、すぐに困ったように視線を逸らす。 「気持ちは嬉しいですが、オレ、結婚してますから……。結婚指輪はしていませんが……」 「もちろん知ってます」 「だったら何故……」 「気持ちを伝えないと自分に嘘を吐いている気がして……」 「……」 「ごめんなさい。面倒臭い女で……」 「いや、頭を上げてください」 「だって迷惑をかけちゃったから……」 「まだ迷惑はかけられていませんよ」 「本当に……」 「そう訊くところが迷惑かもしれませんけど……」  山口翔の言葉に華野蛍がクスリと笑う。  そんな華野蛍の仕種に山口翔がふと微笑む。 「自分勝手だけど、言って、すっきりした」  もう平気なんだ、と決断した人の声で華野蛍が口にする。 「それは良かったですね」  山口翔は困ったように受け答え続けるしかない。  けれども、そんな山口翔の言葉に勇気を得たように華野蛍が宣言する。 「でも、もう忘れる。翔くんへの想いは忘れる。だから翔くんも忘れて……」 「蛍さんが望むなら、そうします」 「それでさ、もしも会社で会ったら普通に話をしてね、お願い……」     
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