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「ねえ、さっきの話だけど、駅に着くまで暫くかかるから今作ってもいい……」
蛍が提案したのはココットのことだ。
折り紙はないが、切り取り線付きのスパイラルノートなら鞄の中にある。
一ページを切り取り、三角に折り、余った部分を織り込んでから指で切り取れば正方形が出来上がる。
「色はないけど……」
蛍が翔の同意を得ずにノートを鞄から引っ張り出す。
もちろん翔には蛍の行動を止める理由がない。
興味津々に蛍の手先を見つめている。
表紙が固いスパイラルノートの上で蛍が、まず正方形を形作る。
ついで対角線に折り目を付け、四隅を中心に合わせて折り込み、小さな正方形を作り、引っ繰り返す。
さらに四隅を折り込み、もう一段階小さな正方形を作る。
後は、それを半分に折り、指を入れれば完成だ。
「本当は占いの数字と文言を先に書いておかなきゃいけないんだけど……」
ココットを指で動かしながら蛍が言うと、
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り……
翔が低い声で歌うように呟く。
続けて蛍が、
「柿の種……」
翔と同様、低い声で唱える。
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