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『こんな、わたしで良ければ、よろしくお願いします』
と笑顔で……。
蛍や健斗の親たちを含め、学生時代の仲間たちは皆、将来二人が結婚するだろうと信じている。
蛍と健斗の仲がすごく良かったからだ。
つまらないことで喧嘩をしても、すぐに仲直りをする。
悪いと思えば、どちらも自分から相手のいる場所まで謝りに行く。
そんな二人の関係が周囲の者たちに二人の結婚を確信させたのだ。
蛍と健斗が将来結婚する。
初め、それは周囲の者たちの考えだったはずだ。
が、やがて蛍自身に伝染する。
自分は将来健斗と結婚するのだ、と蛍が思うようになる。
段々と強く……。
蛍が無意識に健斗との結婚を受け入れたのだ。
その後、蛍が誰かに心惹かれれば事情は変わっていただろう。
が、偶然にも、そんな相手が現れない。
だから蛍は健斗と結婚したのだ。
蛍が内心、将来健斗と結婚するのだ、と思っていることを当然健斗は気づいていたから早期の結婚を画策する。
けれども学生結婚は生活的に無理だと判断し、大学卒業後すぐの結婚を健斗は目指す。
当然のように前提は二人の就職先が決まることだ。
学生にとって就職難の時代ではあったが、高望みをしない二人は比較的早く就職が決まる。
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