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「俺は食肉の研究をしていてね。いずれ誰かを金龍もしくは銀龍に育てたいと思っていた。それは遠い未来の目標だと思っていたけれど、こうして君達に会ったということは、今がその時なのかもしれない」
「では協力して下さるのですか?」
「そういうことになっちゃうかな。ああ、ちなみに君達が自力で王と戦える体になるのは無理だよ。今の龍人界は金龍が王になった頃とは全然違うからね」
「すみません、ちょっとええですか?」
黄二の話に疑問を感じた四郎が手を挙げた。
「金龍さんは昔の戦士に男なら大事なものは自分で守れ、男になれたら戦ってやる言うて自分が使った剣を授けたそうですけど、嘘やったってことですか?」
「嘘は言い過ぎだけど……本気じゃないっていうか自慢話だろうね。俺はこの剣一本で王にまで登り詰めたんだ、スゲーだろって」
「はあ、自慢!?」
切れて立ち上がりかけた三郎を制して、一郎が言った。
「しかしあなたの協力があれば、我々にも可能性があるのですね?」
黄二は、まっすぐ一郎を見つめながら答えた。
「我々ではなく私が主語なら可能性はある」
それを聞いた戦士達は動揺した。
「一郎さんだけ……いうことですか?」
黄二は、問い掛けてきた四郎に目を合わせて頷いた。
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