第1章 火照る体

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祖母は去年亡くなった。三郎の母がその祖母から戦士の話を聞いたのは、その3年前、祖父が亡くなった時だった。 三郎の父は、祖父に勘当されていた。 何も聞かずに俺についてきて欲しいと言われて駆け落ちした三郎の母は、剣崎家の宿命についてそれまで何も知らなかった。 その息子を許さなかった夫が亡くなったので、三郎の祖母は嫁と孫の居場所を調べて尋ねてきたのだ。そして彼女は息子が行方不明だと聞いてもさして驚かず、従者に持たせた大きな包みを開けて見せた。中から出て来たのは、剣崎家に先祖代々受け継がれてきたという剣だった。 「それが、この剣よ」 母は隠していた剣を出してきて三郎に見せた。三郎は母が頷くのを確認すると、剣を鞘から抜いてみた。鞘にも剣にも装飾はなく質素な作りだったが、刃は研ぎ澄まされて美しく輝いていた。明らかに飾りではなく実戦用だ。 「これで……戦えってこと?」 「ええ……」 「何と?」 「それじゃないかしら……」 三郎は母の視線を追って自分の腕に辿り着いた。 「え、これ!?」 「ええ。龍が住む世界があるらしいの」 龍が住む世界。 そう聞いた三郎は、遠い昔父が話してくれた金の龍の話を思い出した。
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