第6章 もっと強く

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「さっき?」 「俺にしか出来ないって言った後、まだ何か言いかけたでしょう?」 「ああ……」 次郎は三郎に流し目を送りながらフッと笑った。 「過去の記述には、剣は斧に次いで強い球を放ったとあります。沼の底から龍を引き上げるのは一郎様と私の仕事、それを倒すのは四郎とあなたの仕事です」 そして城に戻ると、次郎は黙って自分の部屋に下がってしまった。 「ねえ五郎、訓練場開けてよ」 「それは許可がないと――うん? 三郎それどうした?」 五郎は三郎の腕に炎症を見付けた。 「ああ……さっき沼の水がはねた」 「なんだって?」 五郎はすぐに三郎を担いで中庭の井戸に向かった。 「ちょっ、五郎!」 「すぐに洗い流さないと肌が溶けるぞ」 井戸に着くと、五郎は容赦なく三郎の腕に水をかけ続けた。 「冷たい!」 「我慢しろ。それよりおまえ、痛くなかったのか?」
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