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昔々、この世とあの世は一つでした。
世界の中心には龍と暮らす龍人がいて、人は世界の端でひっそりと暮らしておりました。
ある時龍人は、人を全て殺してしまおうと邪悪な龍を世界の端に送り込みました。
その時5人の勇者が立ち上がりました。
彼等が懸命に戦っていると、金色に輝く龍が現れて邪悪な龍を倒し、この世を世界から切り離してくれました。
けれど時は過ぎ、いつしかまた世界はつながり始めました。
臥龍山の奥深く、時折響く鳴き声は、あの世の龍の声なのです。
『世界がつながったら、また龍が襲ってくるの?』
そう尋ねた三郎は、父に問い返された。
『おまえはどうする? 龍と戦う勇者になりたいか?』
『うん、なりたい。僕、悪い龍をやっつけるよ』
そうかと答えて、父は三郎の頭を撫でた。でも父はどうするのか語らなかったし、三郎も尋ねなかった。龍が攻めてくるなんて、幼い三郎にも作り話としか思えなかったからだ。その話の中に実在する山の名前が出て来ても。
三郎は、その名を呟いた。
「臥龍山……」
声に出した瞬間に、今日の記憶が押し寄せてきた。
黒い巨岩。
近付こうとして押し戻しされた感覚。
そしていつもと様子が違う光。
「三郎、あなた何か――」
「ねえ、光は? 美濃家も戦士の血筋なの?」
「光くん?」
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