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「俺は出来る!」
渾身の一撃。それは大きく、鋭い光の斧となって大地を割った。その瞬間爆風が起こり、四郎はふんばって耐えたが、一郎は後ろに飛ばされた。
「一郎さん!」
四郎は斧を投げ出し、慌てて一郎に駆け寄った。
「すみません、大丈夫でしたか?」
「ああ、大丈夫だ。悪い、おまえの力を舐めてた」
四郎は、地面に座り込んだまま笑う一郎に手を貸したが、四郎の手を握った一郎が顔を上げた瞬間に固まってしまった。
「一郎さん……」
「どうした?」
やさしく問いかける一郎を見詰めながら、四郎は正直に告白した。
「こんな風に近くで顔見るの初めてやから……ホンマに美しいな思うて……」
何もしなくても大きな目を更に大きく見開いている四郎に微笑み掛けると、一郎は握った手を引き寄せた。
「それは、こっちの台詞だな」
一郎を引き起こす筈だった四郎の方が、一郎の腕の中に倒れ込んだ。一郎はその体を抱き留めた手で四郎の頬を包むと唇を重ね舌を絡めた。
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