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「ああ……たまたま知ってたんですよ。封印の地が何処にあるのか」
「たまたま?」
「ええ。光――幼馴染みがちょくちょくそこに行ってて。奇妙な場所だったから、剣が光った時、あそこに行けばいいんだろうってピンと来たんです」
「あなたの幼馴染みが? 剣崎家の血をひく親戚ですか?」
「いいえ。名前は美濃光です」
「戦士の家系ではなく、ごく普通の子供だと?」
「ええ。でも普通じゃないかな。凄いお金持ちの家の子で、その……」
三郎はチラリと次郎を見上げて頬を染めて続けた。
「何度見ても驚く位、綺麗な子です。ちょっと……あなたに似てる」
「そうですか。で、彼は今何処に?」
「龍人に連れて行かれたので、多分そっちの世界にいます。俺、どうしても光を助けたいんです」
「そう……」
五郎から報告を受けていなかった次郎は、一郎はこの話を知っているのだろうかと考えた。戦士ではない人間が封印の地に近付いた、龍人が人間をさらった、どちらも過去の記録にはない話だ。
どういうことだろうと考えている次郎を、じっと見詰めている三郎の視線に気付いて次郎が目を合わせると、三郎は少し潤んだ瞳を震わせながら言った。
「あの……後もう一つ聞きたいことが……」
「何です?」
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