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「そうだ。部屋に戻ってもう寝ろ」
「一郎様」
自分も部屋に下がろうとする一郎を、次郎は呼び止めた。
「お着物に土が――」
「ああ、四郎の球に吹き飛ばされた。あいつは凄いぞ」
満足そうに笑いながら次郎の手を払うと、一郎は行ってしまった。
「次郎……」
一郎が消えても廊下に立ったままでいた次郎は、三郎に声掛けられて振り返った。三郎は不安そうな表情で次郎を見詰めていた。次郎は三郎に微笑みかけると、そっと頭を撫でてやった。
「明日が本番です。四郎に負けず頑張るのですよ」
「はい……」
頬を染めて答えると、三郎は逃げるように自分の部屋に帰って行った。
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