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そして一行は沼に辿り着いた。今日も沼は静かだ。けれど沼底にはあの龍がいる。戦士達に立ち位置を指示した後、一郎が刀を構えると一同に緊張が走った。
「五郎、ギリギリまで手を出すな」
「はい」
「四郎、三郎、釣り上げるまでに時間が掛かるかもしれないが、気を抜くな。次郎、始めるぞ」
「はい」
一郎と次郎は沼の底に潜む龍に向けてそれぞれ強い光を放ったが、しばらくは巻き込まれた雑魚が跳ね上がるだけだった。いけないとは思っていても、つい気が抜けてしまう。しっかり構えていたはずの四郎の斧は、段々下がってきた。
「四郎!」
「は、はい!」
四郎が片手で自分の頬を張り気合いを入れた直後、沼が揺れ始めた。
「上げるぞ」
叫んだ一郎が大きく刀を振り上げると沼を吸い上げているかのような大きな水の柱が立ち、それがバシャンと大きな音を立てて砕けると龍の半身が現れた。龍の体には針のような光が無数に刺さっていて、一番太い一本は一郎の刀と繋がっているが、今にも切れそうだ。
「落ちる前に打て!」
言われる前に三郎は球を放っていたが、龍はそれをはじき落とした。次郎は龍の体を下から突き上げるような矢を放ち続けたが、龍の体はみるみる沈んでいく。
ギリギリの所で、四郎は渾身の一撃を放った。すると巨大な光の斧は、ざっくりと龍の喉に突き刺さった。
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