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「やった!」
四郎はホッとしながら叫んだが、一郎は険しい表情で命じた。
「ダメだ、もう一度打て!」
龍は即死せず、暴れて刀と繋がっていた光が切れた。ズシンと大きな音を立てて沼の縁に落下した龍は、無数に刺さっていた光の矢も巨大な光の斧も全てはじき飛ばし、パックリ開いた喉から叫びにならない声と体液を漏らしながら穴だらけの体で沼から這い上がり突進して来る。
「嘘やろ?」
「引きますか?」
「まだだ!」
一郎が放った光が、龍を地面に釘付けにした。次郎も続けて矢を放ち龍の前進を食い止めたが、龍はその場で暴れている。四郎はさっき裂いた喉に続く場所めがけて再び光の斧を打ち込んだ。
「頼むから死んでくれ」
光の斧は龍の首に落ちたが、角度が合わず、龍の頭を切り離すことは出来なかった。
「このまま放置したら死んでくれたり――」
「ダメだ、完全に切り離せ」
一郎も次郎も、龍の前進を食い止めるのに精一杯で四郎に加勢出来るのは三郎だけだが、技を完成出来ていない三郎の球は中途半端で役に立たなかった。
「チッ」
舌打ちした三郎は、龍の手足に矢を打ち込み続けている次郎の険しく美しい横顔を見た。
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