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それを不安そうな顔で見送った三郎に、源三が声を掛けた。
「おまえはこっちだ。ついて来い」
ついて行くと、刃物が並んだ棚がある以外特に変わった所はない畳敷きの部屋に着いた。
こんな所で作業するのだろうかと思っていると、源三は半畳の畳を一枚外した。
更にその下の床板の一部を外して中から道具を取り出しながら、彼は三郎に命じた。
「そこの押し入れ開けて、黒い机持って来い」
言われた通り引き戸を開けると、石で出来たような机があった。
持ってみたが、想像以上に重かった。
「ここへ運べ。引きずるんじゃねーぞ」
三郎は歯を食いしばってなんとか落とさずに言われた場所まで机を運んだ。
すると源三はその上に剣を置いて拡大鏡で眺めた。
「まだ大分残ってるな……つうかおまえ、随分荒い使い方してるな」
源三は呟きながら小さな引き出しを開けて、数種類の粉を出した。
「ちょっとそこから庭に出て、水汲んでこい」
三郎は突き出された瓶を手に縁側から庭に下りた。
城のものより少し小さいが、似たような井戸がある。
(この水何処から来るんだろう。畑もあるし、ここには雨が降るのかな)
庭の草木を眺めて不思議に思っていると、怒鳴られた。
「おい、早くしろ!」
三郎が瓶を持って部屋に戻ると、源三は粉の入った器に水を入れ、グラスハーブを奏でるように掌で縁を撫でた。すると器は小さく振動し始め、彼が手を離して暫くすると止まった。
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