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「何て書いてあるの?」
「これは龍、こっちは剣かしら……封……光……?」
母が断片的に読み上げた文字は、三郎の頭の中で繋がった。
「封印が解けて龍が近付くと光るってことじゃない?」
三郎は剣を手に立ち上がった。
腕の痛みはとうに消えていた。そして剣はまるで生きているかのように暖かく、一方的に掴んでいるのではなく握手しているような感覚だった。道具ではなく共に戦う仲間に思えて勇気が沸き、三郎は庭に駆け下りた。
「三郎!」
心配そうに呼び止める母を振り返り、三郎は剣を持つ手に力を込めた。
「大丈夫だよ、母さん。俺、負ける気しねー。龍を倒して、必ず戻ってくる」
行くべき場所はわかっている。あの黒い巨岩が封印に違いない。
三郎は臥龍山に向かった。山の麓に来ると、剣はより強く光り始めた。
「やっぱりそうだ、間違いない!」
龍の存在を確信した三郎は、剣の光を頼りに暗い山道を全速力で駆け上がって行った。
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