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あくびをしながらそう言うと、源三は行ってしまった。そしてまた朝が来て源三が作業部屋に行くと、三郎は剣を差し出した。
「これ……どうですか」
ドキドキしながら見守る三郎の前で、源三は剣を入念にチェックして答えた。
「うん。残ってない」
「良かった……」
「おまえまた徹夜したのか。大した根性――おい!」
三郎はガクッと首を落として崩れるように倒れてしまった。源三が慌てて抱き留めると、三郎は目を閉じて寝息を立てていた。
「ったく呆れたガキだな」
源三は三郎を抱えたまま立ち上がり、隣の部屋に敷いたまま使われていなかった布団に運んだ。
「眠ってると可愛いじゃねーか」
源三は三郎の頬から項、更に懐まで手を伸したが、全く起きる気配はない。しかし太股に触れようとすると、三郎は小さく唸って体の向きを変えた。
源三はフンと笑って三郎に布団を掛けてやると、部屋から出て行った。
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