225人が本棚に入れています
本棚に追加
眠りに落ちた三郎は、また長い夢を見た。
龍人に連れ去られた光を探して、見たことのない広い建物の中を歩いている。
長い廊下に並んだ扉を一つずつ開いて彼の名前を呼びながら。
開いても、開いても、扉の向こうはただの暗闇だ。
廊下の行き止まりまで辿り着くと階段を上り、また次の階で同じ作業を繰り返す。
どうせまた何もない。
既に落胆しながら三郎は最後の扉を開けた。
そこは暗闇ではなかった。
眩しい部屋。何か大きなものが動いている。
金色の龍だ。
龍は三郎に気付くと大きな口から長い舌を伸し、三郎の頬を舐めた。
次いで唇に舌が移動してきた時、三郎は目を開けた。
目覚めた三郎の唇に触れていたのは、龍の舌ではなかった。
「目が覚めた?」
唇を離して、花が微笑んだ。飛び起きた三郎は、腕で唇を擦りながら叫んだ。
「何すんだ!」
「何って……キスよ。叩き起こした方が良かった?」
花に笑われて騒ぐのを止めた三郎は、不機嫌に尋ねた。
「今、何時ですか?」
「もうすぐ昼よ。あなたが眠ってから3日目のね」
「ええ!?」
またやってしまった。
これでは徹夜した意味がない。三郎は慌てて立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!