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「怪我はないか?」
三郎は小さく頷き、2人はその後黙ったまま村の外に出た。
「よく頑張ったな。皆待ってる。さあ、城に帰ろう」
五郎がそう告げて城に戻る印を書き始めると、三郎は五郎の袖を引っ張った。
「待って」
「忘れ物か?」
三郎は首を振って五郎を見上げた。
「もう少し……歩きたい」
「わかった」
五郎は印を消し、三郎と並んでゆっくり歩き始めた。
「ねえ、俺ってそんなに弱そうに見える?」
俯いたまま尋ねる三郎に、五郎は答えた。
「どう見えるかなんて気にするな。三郎は強い。武器はやられたけど、あの龍だって倒したじゃないか」
けれど三郎は首を振った。
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