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もっと欲しい。
しかし欲望に駆られて次郎を振り返った三郎は、すぐに反対の欲望に捕らわれた。
次郎は無防備に脚を開いたまま座り込み、呼吸を整えていた。
さっきまで一輪だった百合は、脇腹から膝まで広がっている。
三郎はその脚に手を掛け、次郎にのしかかった。
「俺にもやらせて」
「それは……あっ!」
男性が興奮すれば女性も興奮する淫らな体は前戯の必要もなく逆転して、二つの体は再び一つになった。
「ああ凄い、こっちも気持ちいい」
「さ……三郎……や……」
女にされることには慣れているが、そのつもりはなかった次郎は抵抗したが、初めて男になった三郎は夢中になり、決して次郎を放そうとしなかった。
三郎は、さっきは後ろにいて見えなかった次郎の顔をうっとりと見下ろした。
声を殺そうと必死に歯を食い縛り、目を閉じて眉を寄せるその表情は、益々三郎を興奮させた。絶頂を迎えても離れがたくて次郎の中に留まっていると、すぐに再び興奮する。
それを何度も繰り返した。
「どうしよう止らない……」
暴走する体がまた絶頂を迎えるのを待って次郎はようやく三郎を引き離し、すっかり乱れた長い髪をかき上げて立ち上がると三郎を睨み付けた。
「いい加減にしなさい!」
次郎に叱られて、ようやく興奮が収まった三郎は、慌てて謝った。
「ごめんなさい、俺――」
次郎は怒ったまま無言で服を着て髪を結い直した。三郎は、そのまま出て行こうとする次郎にすがりついた。
「本当にごめんなさい。俺のこと嫌いになっちゃった? 俺……俺、次郎のこと好――」
キスで三郎を封じた後、次郎は静かに三郎に告げた。
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