第8章 初めての喜び

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一方三郎は、次郎が部屋から出て行った後しばらく独りで悩んでいたが、やがて眠って朝になった。ため息をつきながら着替えて廊下に出てみると、待っていたらしい四郎が隣の部屋から出てきた。 「おはようさん」 「――おはよう」 昨夜四郎にどこまで聞かれたのだろうと思いながら三郎は視線を背けたが、四郎は小走りで前に回り込んできた。 「皆もう出掛けてな、また俺等2人きりやねん」 「ああ、そう」 「ああ、そうて……何処行ったか興味ないんかい」 三郎が答えずにいると、四郎は勝手に三郎がいない間の出来事を話し始めた。 「おまえも大変やったろうけど、こっちも大変やったで」 あの後灰色の沼を片付けて、また復活されたら大変だから三郎の帰りを待たずに4人で封印を済ませたらしい。だから今日3人は新しい場所に出掛けたという。 「そんで俺はまた子守り係や。あーあ。暇やから訓練場行くで」 「悪かったな。皆と一緒に行けば良かっただろ。留守番くらい独りでも――」 「三郎は何するかわからんからよう見張っとけって、一郎様のご命令や。俺もそう思う。ただ文句言うてるだけや」 そう言って舌を出す四郎に、三郎は眉を顰めて言い返した。
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