第2章 茶髪のイケメンと優しい巨漢

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そして龍人は低く不快な音を立てて笑うと、光を抱えたまま龍から飛び降り、あっという間に緑の炎に包まれて消えてしまった。 「光!」 追いかけて炎に飛び込もうとした三郎は、龍の尾に弾き飛ばされた。 しかしその体は荒地に叩きつけられることも木に激突することもなく、誰かの腕の中に収まった。 「自分、無茶苦茶やな」 三郎を抱き留めた男は、彼を立たせながら諭した。 「龍残してあっち行ってどないする」 眉を顰めて振り向いた三郎の目に映ったのは、少し長めの茶髪のサイドを編み上げた、いかにも女性にモテそうな甘い顔立ちの男だった。少しつり上がった眉と反対に垂れ気味の大きな目は長い睫毛とふっくらした涙袋に縁取られていて、筋が通った鼻は細く、誘うように濡れて輝く唇は実に柔らかそうだ。けれど美少年と言う感じではなく、年は三郎より少し上に見える。 「あんたも戦士?」 「自己紹介しとる場合か。来るで」 龍が口を開いた。低音の唸りが地を揺らし、毒を含んだ吐息が2人を襲った。 「あかん、後ろに回れ」 三郎に向かってそう叫ぶと、茶髪男は自分も龍の背後に走った。 彼は身長は三郎よりやや高いが、すっきりと痩せた体をしている。けれど剣より重そうな斧を担いでいた。 (武器って剣だけじゃないんだ……)
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