第8章 初めての喜び

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「沼の龍しか現れないのか?」 「そうなんですよ。三郎はもう何度も一撃で倒してるんですけどね。なんでですか?」 四郎の質問を受けた一郎は、三郎に向かって尋ねた。 「三郎、おまえにはあの龍が出続ける理由がわかるな?」 三郎は視線を避けるように俯くと、剣をギュッと握りしめて答えた。 「実戦だったら、また剣と相打ちだからでしょ」 「はあ、なるほど。えっじゃあなんぼ倒してもアカンやないか」 「そんなことない!」 頷き掛けて首を傾げた四郎を否定するように、三郎は叫んだ。 「もっと強い光で剣を完全に包むことが出来れば、直接触れずに龍を倒せる」 ようやく顔を上げて視線を合わせた三郎に向かって軽く頷くと、一郎は前に進み出た。 「ああ。だがもうその必要はない。次に倒すべき敵はこれだ」 そう言うと一郎は刀を振り下ろした。三郎と四郎は強い衝撃に備えて身構えたが、訓練場は静かなままだった。三郎は一郎のミスかと疑ったが、四郎は身を震わせた。 「ええっ、こんなに気配ないんですか?」 「いいから戦ってみろ。2人とも早く中に入れ」 2人が戸惑いながら場内に入ると、白い霧が辺りを包み始めた。 「背中を合わせろ。自分の前でだけ武器を使え」 一郎の指示に三郎は益々戸惑ったが、四郎はすぐに従い、三郎に説明した。
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