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次郎に抱かれていた時には、そんな細かいことは気にならなかった。何処をどう突かれても感じた。次郎がどんな風に自分を抱いたかなんて覚えていない。
逆に抱いていた時のことはもっとわからない。とにかく気持ち良くて、何も考えられなかった。あの夜の記憶は、強烈な体の快感と、その後の心の痛みだけだ。
それでも記憶を辿ってみて、三郎は次郎の言葉を思い出した。次郎に、自分の体は特別だと言われた。他の戦士の体は、同じようには感じないのかもしれない。そう納得した三郎は、ゆっくり探りながら動き始めた。
「わかんねーよ。何処がいいんだよ」
「もうちょっと……上や」
「上ってどっちだよ。ここか?」
「うん……あ、そこ……」
感じて仰け反った四郎の項に牡丹の花を見た三郎は興奮して動きを加速した。
「や……強すぎるて、もう少し優し……」
一々注文をつけられると快感が半減する。三郎はつい舌打ちしそうになった。すると四郎が腕に手を伸してきた。そのままゆっくり撫で続ける細く長い指の感触に、下半身に集中していた快感が全身に広がった。
顔を見ると、四郎は微笑んでいた。四郎は大抵笑顔なので珍しくはないはずだが、いつもとは違って見えて三郎はハッとした。少し驚いた顔をした三郎に向かって、四郎は綺麗に口角の上がった唇を動かして囁いた。
「なあ、キスしてや」
三郎は、強く掴みすぎていた四郎の脚から手を放した。そして体を倒して四郎の頬を両手で包むと、四郎は更ににっこり笑ってくれた。それを見た瞬間、小さな指で抓られたような胸の疼きに突き動かされて、三郎は四郎と唇を重ねた。すると四郎の方も三郎の頬を両手で包み込み、もっと熱いキスを返してきた。興奮した三郎は結局また自分勝手に動き始めてしまったが、四郎はもうそれをとがめることはなかった。そしてようやく絶頂を迎えることが出来た三郎は、四郎から離れると照れ隠しのように呟いた。
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