第8章 初めての喜び

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四郎はそんな三郎を見守り眠りにつくのを待って部屋に戻るつもりだったが、三郎と共に眠りに落ちてしまった。 「就寝時には必ず自室に戻れと言ったはずだが?」 耳元で低く呟かれ、四郎は飛び起きた。枕元に一郎がいる。 「も、申し訳ございません。つい――」 「戦いの最中についうっかりしたら死ぬぞ」 「ごもっともです」 四郎が慌てふためいた声で答えても、三郎は目を覚まさなかった。一郎はその寝顔を眺めながら言った。 「霧を払う技が完成した。見えれば恐れる相手ではないが、数が増えればやっかいだ。今から退治に向かう。そいつを起こして支度させろ」 「はい!」 着物を羽織りながら返事をして一郎が部屋を出るのを見送ると、四郎は三郎を揺すった。 「三郎、朝やで」 三郎はうーんと唸って横を向いた。 「お早うのチューしたろか」 四郎が顔を近づけようとすると、三郎は飛び起きて四郎を睨み付けた。 「えー、そんなに嫌がらんでもええやん。昨日あんなことやこんなことしたのに」 「それとこれとは別だろ。朝から気色悪いことすんな」 四郎は一瞬酷いという顔をして見せたが、すぐに表情を戻して立ち上がった。
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