第9章 美しい敵

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「龍人って寿命どれくらいなの?」 「雄は人間より寿命長いけど、食べた龍によって違うんやて。色や体の大きさもそれで決まるらしい」 「じゃあ俺が見たやつは緑の龍しか食べないんだ」 「龍人でも龍は簡単には食えないらしいで。この王様は色んな龍食ってそうやな」 四郎はそう言うと巻物を元に戻そうとした。 「ちょっと待って」 「どないした?」 三郎はその王様の顔をじっと見詰めた。初めて見るはずのその顔が、誰かに似ているように思える。 「こいつ何処かで見たような……」 「その緑色のやつに似とるんやろ」 「うん、まあそれもそうだけど、もっと似てる顔を知っているような気がする」 「人間ってことか? こんな男前人間界にはなかなかおらんやろ。芸能人か?」 「うーん……」 四郎は色んな芸能人の名前を挙げてくれたが、どれもピンと来なかった。そもそも三郎はあまり芸能人には興味がないし、テレビ画面で見たのではない気がする。 「もうおらんで。あっ、一郎さん?」 確かにこの金髪を短い黒髪に変えたら一郎に似るかもしれない。そう思って見ると尚更似て見えてくる。
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