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「お体を拝見します。着物をお脱ぎ下さい」
「腕がだるい。勝手にやってくれ」
掠れた声でそう言うと、一郎は両腕を開いて目を閉じた。
「では、失礼いたします」
許可を得た五郎は、一郎を裸にした。白く輝く肌は無数の傷と痣に覆われていたが、それすら飾りに見える程美しい体だ。五郎はその中で最も目立つ傷に手を伸し、掌で覆った。
「どうしてこんな無茶を。あなたらしくない」
「まさかあんなにいるとは思わなかった」
「理由はそれだけですか?」
暫く待っても一郎は答えなかった。眠ってしまったかと五郎が顔を覗き込むと一郎は目を開き、ため息をついた。
「2人きりでも敬語か。おまえの作戦は、あまり効果があるように思えないが」
「そうでしょうか」
「少なくとも三郎には逆効果に思える」
訴えかける一郎の目から視線を逸らし、五郎は一郎の体を反転させ俯せにさせた。
「三郎に慕われたいのですか?」
「別に慕われなくてもいいが、嫌われすぎじゃないか?」
「それは……仕方がないでしょう」
「第一印象が悪すぎたか」
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