第2章 茶髪のイケメンと優しい巨漢

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「ホンマ腹立つガキやなあ。俺ここまでめっちゃ冷静にリードしとるやないか」 「でも変な言葉使うし」 「ああ、それ言うか? わかった、もうしゃべらへん」 そんなつもりはないのだけれど、三郎はよく人を怒らせる。正直で、プライドが高く、媚びることを知らない子供だからだ。そしてまた、憎めない子供でもある。再び訪れた無音の闇の中で、三郎は四郎に呼びかけた。 「ねえ」 四郎は答えない。 「ねえ」 まだ答えない。 「ねえ……」 三度目の声は、少し掠れていたが、それでも四郎は黙っていた。 「ね――」 「ああもう、なんや!」 とうとう耐えられずに答えた四郎に、三郎は尋ねた。 「あいつ、見た? 緑に光ってたデカイやつ。あれが龍人?」 しかし四郎が辿り着いたのは、龍人が光を連れ去った後だったので、四郎はその姿を見ていなかった。
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