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少し離れた所を歩いていた一郎も近付いてその場所を眺めた。確かにそこだけ土の様子が違う。
「下がれ」
四郎達をその場から離れさせると、一郎は刀を構えて地面に振り下ろした。すると刀でえぐられた地面の奥に白いものが見えた。
「えっ……龍?」
一郎は刀を突き刺し、地面の奥の白い塊を引き出した。
「龍の骨だ」
「この前の龍ですか?」
「いや、違う。あの龍はもっと大きかった」
骨は刀に突き刺された瞬間に崩れ始め、数秒で消えてなくなった。
「気配の元はこれかもしれない」
一郎はそう言うと残っていた骨を全て消し去った。それと同時に龍の気配は消えた。
「どういうことでしょう?」
「わからない。しかしこれでこの森を封印出来る」
森の中央にあった小さな泉の中に白い石があり、それに4つの武器を刺すと泉の水も周囲の霧も全て吸い込まれるように消えた。同時に白い木々はまるでガラスの様にパリンと音を立てて砕け散り、森は平坦な白い地面だけになった。
「なんや呆気ないな」
「何かの罠でしょうか」
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