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「今なんか聞こえんかった?」
「コウモリの鳴き声の他に?」
「ええ。なんや悲鳴みたいな……」
「耳がおかしくなったんじゃないか?」
「そうやろか……」
けれど耳を澄ましながら辺りを見渡しても何もない。
「どうかしたか?」
「いえ。なんでもありません」
戦士達は再び歩き始め、しばらくすると広い場所に出た。そこから先はいくつも道が別れている。
「端から順番に行きますか?」
一郎は無言のままそれぞれの道の先を一つ一つじっと眺めていたが、ふと振り返った。
「次郎」
呼ばれると同時に、次郎は来た道に向かって細い矢を放った。すると今度ははっきりと悲鳴が聞こえた。
「女の子!?」
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