227人が本棚に入れています
本棚に追加
勝手に転送紋に入ろうとした三郎は、跳ね返されて尻餅をついた。それを眺めていた一郎は、予想通りの結果に頷いた。
「やはりな」
三郎はムッとして立ち上がると再び一郎に詰め寄った。
「独りで納得してないで、説明してくれよ。なんで入れないんだよ」
すると矢を引き抜いて女の着物の袖を回収した次郎が代わりに答えた。
「説明されないとわからないのですか。この転送紋は、敵は通さないように出来ているのです。少なくとも武器を手にしたまま通過することは出来ません」
「武器がなくても敵と見なされれば通過出来ないようだ。さっき俺が跳ね返されるのを見ただろう?」
五郎は四郎の斧を拾い上げながらため息をついた。
「じゃあどうするんだよ。助けに行かないの? 四郎はどうなるの?」
一郎は三郎に腕を掴まれ揺さぶられながらしばらく考えていたが、三郎の手を払って答えた。
「今はどうにも出来ない。一先ず城に戻る」
他にも龍人が潜んでいるかもしれないし何処かで監視されているかもしれないと恐れた一郎は、戦士達を率いて急いで洞窟から出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!