第12章 危険な賭

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「食前酒だ。食事が数倍美味しくなる」 「いやいい。食事もいらない」 毅然として答える一郎に、龍人達は首を傾げた。 「飢えておいでだからたっぷり召し上がって頂けと言われましたが?」 「誰に言われた。その人物に会わせて欲しい」 「ええ、お連れしますよ。食事の後に」 「いらないと言って――」 一郎は掴みかかって来た龍人から身をかわした。しかし出口の見えない部屋に自分より一回り大きな龍人5人が相手だ。次第に追い詰められ、とうとうベッドに押し倒された。 「手間掛けさせるなよ、お嬢ちゃん」 龍人の長い舌に頬を舐められ一郎は一瞬眉を顰めたが、すぐに表情を和らげ龍人を真っ直ぐ見詰めた。 「わかった。食事にしよう。でも5人一度は勘弁して欲しい。順番に、ゆっくり2人きりでどうだ?」 思わせぶりな笑顔で見詰めたまま触れ合った脚を撫でるように動かす一郎に、龍人は頬を緩めた。 「お前等、ちょっと外出てろ」 「いや、しかし――」 「いいから出てろ。後で代わってやるからよ」
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