第13章 囚われの戦士

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第13章 囚われの戦士

「なんやもう、わけわからん」 広く快適だけれど決して出ることは出来ない部屋の中で、四郎は独り言を呟いた。ずっと室内にいるし一日の長さが人間界と同じかどうかもわからないのではっきりとは言えないが、ピンクの部屋から青龍の弟の城に連れて来られて恐らく約2週間経った。彼は色々と忙しいらしく一緒にいる時間は短いが、その間はとても優しい。部屋から出して貰えない代わりに何でも与えてくれる。一番驚いたのは女だ。冗談のつもりで可愛い女の子が欲しいと言ったらとびきりの美女を連れて来られて好きにしていいと言われた。でも結局彼女とは話しかしなかった。 「俺、このままあの人のお嫁さんになってしまうのやろか」 困ったことにそれでもいいと思える自分がいる。でもそうなったら、生まれ育った世界はどうなってしまうのだろう。 「やっぱアカンやろな。それは……」 ここに来て重大なことがわかった。 龍人界では近年龍が減ってきている。原因は色々あるが、その一つが人間界からの悪影響だと考えられているようだ。 そして人間より圧倒的に優れている彼等は、自分達の利益の為に人間界を改修する際に人間の許可を得る必要はないと思っている。人間が自然破壊を行ったり逆に保護する際に他の生物に許可を得ようなんて考えもしないのと同じだ。 それともう一つ。 自分が拾われたのは、人間が猫を拾うようなものだろうと思っていたが、どうやら違うらしい。薄々感づいていたことではあるが、戦士の中には龍人の血が流れている。しかもこの世界でも滅多に生まれない貴重な性であるが故に貴人と呼ばれる中性の血が。 「ああもう俺、どないしたらええんやろ」 ここにいる間に人間である家族や友人達も駆除されて、生まれ育った故郷は整備されて跡形もなくなってしまうかもしれない。そんなのは嫌だがどうしたらいいのかさっぱりわからず途方にくれた四郎は、ため息交じりに一番頼りになる人の名を呟いた。 「一郎さん……」
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